偽島とかいう定期更新ネトゲ中心。その他オリジ等々。
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久々のイベント参加しました!
と、参加と絵を描いてもらった喜びを長々と語っていたんですがPCフリーズで全部消えたので簡潔に^q^
絵は ENo.159 グリス・キアロ のPLさんに描いてもらいました。
キアロPLさん本当にありがとうございました!まじ素敵っす!惚れます!
リリは誰かと絡んでいって(設定に関わる)フラグを立てないとバッドエンドまっしぐらなので、本編の転機になるといいなあ。
つづきには今回日記の全文をまとめて載せておきます。
これは僕が書きました。文担当です。絵担当が自分じゃないというのも珍しいのでそれも楽しかったですねー。
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と、参加と絵を描いてもらった喜びを長々と語っていたんですがPCフリーズで全部消えたので簡潔に^q^
絵は ENo.159 グリス・キアロ のPLさんに描いてもらいました。
キアロPLさん本当にありがとうございました!まじ素敵っす!惚れます!
リリは誰かと絡んでいって(設定に関わる)フラグを立てないとバッドエンドまっしぐらなので、本編の転機になるといいなあ。
つづきには今回日記の全文をまとめて載せておきます。
これは僕が書きました。文担当です。絵担当が自分じゃないというのも珍しいのでそれも楽しかったですねー。
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「今日お祭りがあるようなんですが、リリは行ったことはありますか?」
ふと思い出したようにキアロは口に出した。いつもの、おそらくは他愛のない会話の途中で。
いつもの会話、いつもの服、いつもの二人。その中でちょっと日常と違う話題。
それは切っ掛けとなる。何かが変化する兆しとなる。
「ん、祭りなら故郷の村でもやっていた。かがり火を焚いて、皆で酒を飲みながら演舞をするんだ」
「あ、そういうのではなく。おそらく縁日みたいなものだと思うんですが」
記憶を見返すように話す少女――リリは、決して懐かしむような表情はせずに、いつも通りの動かない顔で答えた。その誤解を手で区切るように止め、言葉を加 える。
「エンニチ?」
表情の変わらないまま首を少し傾げる。組んだ腕は覚えがあるかを確認しているという仕草だろうか。それに軽く微笑んで青年は疑問の語尾に答える。
「屋台が並ぶんです。それで皆そこを歩きながら巡って……
何でしたら行ってみますか?商売の参考にもなるかもしれませんし」
誘いの言葉。二人で出かける、初めての誘いの言葉。
ん……、とリリは少し考えこむ。少女の体も、時間も、全ては商会の――クロエの商品だ。他の誰かがそれを拘束するならば代価を支払わなくてはならない。
ただし同時に少女は商人でもある。商売の勉強になるならばそれはリリの判断で行動して良い筈だった。
「ん、そうだな。行こう。興味が出た」
――キアロは別に、わたしを買おうというんじゃない。
それは少女の心中で言い訳であり、どこか安心するような推測。リリの自覚していない不安を隠すキアロの微笑という安心感。
そうして夜に待ち合わせることを決め、いったんは各々の日常へと戻る。
余談だがこの間、ネイバとキトは別の話で盛り上がっていた。祭りの話に耳を傾けていたかは定かでないが、この後祭りの間はリリとキアロの前に姿は見せな かったようだ。
屋台の立ち並ぶ少し前、目印になる十字路の大樹に寄りかかる青年の姿がある。
縦縞の涼しそうな甚平姿は、普段の趣とはまったく違うおかしさと若さが見えた。歳をとろうとも男は少年であるということを意識するだろうその姿は、それで も風貌に似合っていた。膝から出した脚はこの時期からは暑そうな毛で覆われ、その後ろには触り心地の良さそうな尻尾が見えていたがそれもこの島においては 日常の一つである。彼が待ち合わせる少女も慣れたもので、普段から気にする様子も無い。
ちらりと葉の隙間からキアロは空を見上げ、月の具合で時間を確認する。それとともに安堵も。自分の体が今日は人のままで居られることに安堵したのだ。今日 のようなことは人の姿の方が良いだろう。せっかくあの、遊びも知らないような少女を連れ出したのだから。
「キアロか?」
見上げた空から視線を戻すと、声をかけてきたのは待ち合わせた少女だった。が……その服装は普段とまったく同じだ。
しかし予想通りである。そもそも彼女は遊びに来たつもりではないのだから。
「早いな。時間通りに来たつもりだが」
「いえ、大丈夫ですよ。待たせるのも悪いですから先に来たんです」
そうか、待たせて悪かった。そう言うとリリの視線は祭りの会場へと向けられる。並ぶ屋台と既に多く行き交う人々。こういう祭りは見たことが無いのだろう、 無表情ながらも興味に溢れる目をしている。
「早速ですが行きましょうか?」
ん、とリリが首肯するも、ああでもその前に、とその足を止める。
「せっかくだから浴衣を買いましょう」
「ユカタ?」
こういう祭りの正装ですよ、と言って歩き出す。
ここに来る前に見てきたが、屋台の並ぶ通りの前に浴衣を置いてある衣装屋が数件あった。売り時だと思ったのだろう。この島の商売人は活発だ。
何のことだかよく分からないままに少女はキアロのすぐ後ろをついてくる。自分の知らないことなら知っている者の後を追う。リリはそういう素直さを実に持ち 合わせている少女だ。
その姿に親鳥を追うひよこを思い出して、キアロは静かに微笑した。
露天で台に生地を並べて売る者、店舗が近くだったのか客を呼び込む店主、簡易テントを試着室にする露天商。紫陽花、千鳥、菖蒲、鮎、花桐、蝶、鯉、紅 葉……色とりどり様々な浴衣がところ狭しと売られている。
さてどれが似合うだろうかと顎に指をかけるキアロ。女性の服を選ぶのだから気合を入れてかからねば失礼だと考えているのか、並べられた端から眺めていくそ の目は真剣である。目に留まるものがあれば生地を指で丁寧に触り、着心地や質を確認していく。
リリは物珍しさか商品の仕入れを考えているのか、少し落ち着き無く首を動かしている。この辺りはまだ人がまばらだが、目を離せば居なくなってしまいそう だ。
「ん?」
露天の一つを目にして、何かに気づいたリリがそれに近づいていくので、手にとっていた生地を店主に戻して少女を青年は追う。
ぜくたじゃないか、とリリが言うのを聞いた。どうも商会の仲間らしい。色の良い浴衣が並べられる横に小さな狐……が二足で立っていた。
「ああ、リリか。外で会うのは珍しいじゃねぇか」
「そうだな。売りに来ていたのか。真似は?」
二人(一人と一匹?)が話している間に並べられた浴衣や甚平を見る。それは余り飾り気のないシンプルなものが多く、触ってみると生地も悪くない。最初に目 に付いたように色は鮮やかな上品さに抜けて出ていて、和装に詳しくなくとも上物の衣装に思えた。
(それに、少しばかり魔力で守られている)
あの狐がこれを?とゼクタと呼ばれた彼を見ると、その指先が示す物陰には寝転がった浴衣の女性が居た。
「あのザマだよ。いい商売の機会なのに面倒だつって呼び込む気すらねぇ。
おい真似!客だぞ!」
溜息をつきながらその狐が怒鳴ると、眠そうに目をこすったその女性が首だけ起こして挨拶してきた。
「あれ~……リリちゃんじゃないですか。おはようございます……そっちの人は彼氏ですかぁ?」
「え?アンタ、リリの連れなのか!?」
どうも、と遅ればせながらの挨拶をする。恋人かどうかはリリが即答で否定していた。
歳も離れているだろうしそう見えては逆に何とも言えないな、とキアロは苦笑しながら、真似を叱咤するリリに声をかけた。
「リリ、これなんかどうです?」
キアロが手に取った浴衣は、丁寧で控えめな白地の上に爽やかな紫の朝顔が咲いていた。
生地は柔らかで薄く、蒸した夜に着ても心地が良さそうな上質さ。帯はよく見れば陰影の市松になっていて、小さな花弁がその上に散っている。
その白は少し赤い少女の肌を逆に生きる鼓動の美しさのように引き立てるかと思えた。紫は彼女の変化を象徴する髪飾りと重なって調和を匂わせる。
「ん、それか……キアロが良いというなら」
少し指先に躊躇しながらも差し出された白を受け取る少女は、変わらない無表情の中に薄く不安の影が見えた。自信が無いのだろう。美醜の基準を持たない彼女 には自身にそれが似合うかどうかが分からないし、そう実感出来た経験も無いから。
なら奥で試着してみな。気に入りゃそのまま着てきゃいい。
そう言ってゼクタという狐が背後にあった簡易テント(真似の私物)にリリを誘導する。
入る前に一瞬、少女はキアロをちらりと見た。その視線はやはりどこかに不安が残っていて――その胸には以前にも見た青白い炎の花が顔を覗かせていた。
試着室から出てきた少女にキアロはいつもの笑顔で、いつもよりもう少し心に届くような笑顔で、似合いますよ、と言った。
リリは笑い返しこそしないものの、自分でも気づかないような息を微かに吐く……それは安堵の吐息だったろう。
さながら蛍の輝きを遠めに見るような、頼りない安堵だったとしても。
並んだ屋台の数はそこまで多くないにしろ、人の通りは活発だった。
今日の祭りの趣旨に沿って少し控え目になった灯りだが、それでも活気のおかげで実際よりも通りは明るく見える。楽しげな笑い声、野次、足音がそこら中から 聞こえてきて、祭りなのだという実感を運んでくる。
「はぐれないで下さいね」
「ん」
キアロの言葉に首肯するも、後ろの彼を振り向くこともなくリリの目は様々な露店に向いていた。綿菓子やチョコバナナ、定番だが少女は見たことのない菓子。 金魚すくいや射的、似たようなものは知っていてもやったことのない遊び。
それらの値段と商品の原価、祭りという付加価値で売れていく儲けの換算。リリの目は少女のそれでありながら、商人としての思考が根付く視線だった。
「リリ、少し待っていて下さい」
「ん」
気の無い返事に軽く不安になりながら、見かけた露店に寄っていく。余り列の無い箇所を選んだものの、少しの待ち時間はあるのでその間少女に目を向けたがさ すがに何処かへ行ってしまうことはないようだ。
手持ちのPSで買い物をして少し歩を速く戻り、リリにそれを差し出す。
「どうぞ。食べませんか」
「……?何だこれは?」
二本の木串に刺さったリンゴと、それを包むべったりとした飴菓子。
「りんご飴って言うんです。こういう祭りの定番ですよ」
「ふむ。……あ、いくらだ?払うぞ」
「いいんですよ。あげますから」
そう言われると少し受け取りづらそうにしながらも差し出されたそれを受け取り、ありがとう、と礼を一つ言う。
この少女の感謝や挨拶はいつもどこかぎこちない。まるでそれを言うべき場面なのかどうか分からないまま、恐る恐る礼儀をこなすようだ。そして、おそらくは 実際にその通りなのだろうとも思う。
「……甘い」
「そういうものです。口の周りなんかベタつかないように気をつけて」
「……やっぱりわたしを子供扱いしていないか?」
そんなことはないですよ。
笑いながら先日も話したことを同じように否定する。もちろん笑っているのはキアロだけだったが、それでも彼には少女がその会話を楽しんでいるように思え た。
少女の口にその飴菓子は大きすぎるらしく、四苦八苦して食べながら歩いている姿を横から青年は眺める。
そういえばあの魔方陣は踏んだかとか、お互いの故郷の祭りはどうだったとか、軍務でこんな笑い話があったとか、他愛もない何時もどおりの会話をしながら歩 く。
飴で予想通り少しベタついた口を気にしつつも、あれは?とリリが聞く。ああ、確か型抜きとかいう遊びだったと思いますよ。カタヌキ?そうです。細かい模様 を綺麗に抜けたら賞金が貰えるとか。
へえ……キアロ、やってみよう。
今日初めての自分からのリリの提案に乗らない理由は無かった。報酬があるからだとしても、悪いことではない。
言うが早いかさっさと歩いていってしまうリリの足は、キアロがついてきていることを信用するようにも見えた。
その型は島ながらのもので、PSの型から始まり、歩行雑草、鹿、大鳩、サンドジェリー……以前に出遭った獣達を模していた。
鋳型も無かっただろうに、どうやって作ったんだろうか。元はとれているんだろうか、などと話しかけてくるリリも、夢中になったのか少しずつ言葉少なになっ ていく。
「ん」
その様子を見ているだけだったキアロの袖を引き、狼の脚を曲げさせて目の前に自分の持つものと同じ型を差し出した。
「キアロもやろう」
キアロは少し驚いた。彼女がこういう積極性を見せるとは思っていなかったから。
そしてそれは彼の表情を笑みに変え、その誘いを二も無く受ける返答に変わる。二人は同じくらいの速度で型を削り、一つまた一つと難易度を上げていった。
キアロが失敗した型をリリが綺麗に削り終えた時、ほんの一瞬少女が嬉しそうに自慢げな顔を見せたような気がしたのは、幻だったろうか。
「さて、じゃあそろそろ行きましょうか」
「? どこへだ?」
一通り屋台を回ったあと一休みしていた二人。キアロが腰を上げながら言った。
「この祭りの趣旨ですよ。行けば分かります」
歩き出すキアロの後を追うと、屋台の通りからどんどんと離れていく。
灯りも、活気も、人の声も急にしんと静まり返り、今が夜だったことを思い出させた。
順路を示した急ごしらえの看板が暗く見える。足元には地面の感覚があるもののいまいち視界がまだ明るさを手離さない分だけ覚束ない気がした。
「暗いから気をつけて」
リリなら大丈夫でしょうけど。そう言いながらもキアロが手を差し伸べてくる。
少女には一瞬意図が掴めなかった。掴む為の手を差し出されたことなど、クロエ以外になかったのだ。
少しの間があった後、ゆっくりと手を伸ばす。指先が触れそうになった時に瞬間、びくりとリリの肩が震えたが……それでも伸ばされた大きな手のひらに、少女 は小さな、傷だらけの指を乗せた。
言葉は無い。
二人はただ、沈黙と暗闇の中をキアロの歩くままに進んだ。落ちた葉と土を踏みしめる音と虫の声だけが耳に届き、少女は何故だか斜め前を歩く青年の顔を見ら れなかった。
「この先です」
かなり細く、獣道に近くなった道を塞ぐ葉をどけながらキアロの声が通った。
葉を潜り、静かな川と少し大きな池の音を聞いてリリは顔をあげる。
そこでは、
微かな灯火の群れが二人を迎えた。
月の明りも余り届かないこの場所で、一つ見紛えば幽鬼とも思える境界線の儚さを持った灯りが舞っている。その儚さは現世ではない美しさを思わせ、ある人は 懐郷し、ある人は夢を想うものであった。
再び二人の間に沈黙が訪れる。
蛍。
その灯りと声だけが満たす空間で、青年と少女はただそれを眺めた。
言葉も時間の流れもいらなかった。同時にその景色を胸に焼き付けたということだけがただこの場で必要なことだった。
二人の繋がれた手に一つの灯りが停まる。二つの視線が同じ場所に注がれる。
彼らは恋人ではない。家族でもない。友人であると少女は信じることすら出来はしない。
それでもその一つの光明は、薄く二人の手の上で灯りを照らした。
静寂が流れ、夜の時間がどのくらい経ったかも忘れた頃にその蛍は群れへと飛び立った。
飛び去る先、暗闇に灯る儚く淡い思い出に視線を向けてリリが言う。
「……綺麗って、きっとこういうことを言うんだな」
その言葉を少女が紡ぎ出せたその意味を、一瞬キアロは分からなかったかもしれない。
リリはまた、考えこむこともなく、ぎこちなくもない言葉でもう一つだけ続けた。
「ありがとう」
二人はまたしばらく黙り込む。
夏に差し掛かった季節の夜、まるで蛍火で出来た宙のような情景を見つめながら。
( 【蛍火の宙】 ―終― )
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