偽島とかいう定期更新ネトゲ中心。その他オリジ等々。
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セレナさんのとこの続きで、これで終わりかな多分? ギリギリ滑り込みで最後のサマバケです。
サブキャラ多くすると全部回収するのが大変ね!!
続きに格納ゥッ!!!
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サブキャラ多くすると全部回収するのが大変ね!!
続きに格納ゥッ!!!
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「…………っち」
日も完全に沈んだ中、低く重い破裂音が空に響く。
それは実に見事な花火だったが、彼の居る林の中からそれは見えない。
学生服の青年はふて腐れるように細い樹の根元に寝転んでいた。
その隣には黒髪の少女が腰掛けている。
「で、アンタはどうするんだい?」
かろうじて木々の隙間から見える人影から視線を外して、彼女は青年に尋ねた。
学生帽で顔を隠した彼は、答えあぐねているようにも見えた。
「……どーもこーもねーよ。俺の帰るべき場所ってのももう無いんだ」
制帽を僅かに上げて隙間に目を細める。
目線の先には三人の人影。
「じゃあ今まで通りって事か。まったく、しようのない男だね」
「うっせぇ」
彼が見つめる金髪の少女は、幸せそうに眠っていた。
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月明かりと花火に照らされる彼女の肌は、空に咲くそれと比較出来る程に綺麗だった。
ミミは完全にセレナと打ち解けたようで、彼女に凭れて眠っている。
それを挟んで三人で座っている様子は何処か家族のようだ、とふと思う。
思わず笑みがこぼれた。自嘲でない、苦笑でない、心から安心した時の笑み。
こんな笑い方をしたのは、いつ以来だろうか……いや、初めてかもしれない。
私がかつて望みながらもどうしても手に入らなかった家族。
こんなにも、暖かいものだったか。
「しかし、魔法を教えるか。考えたものだね」
やっと得たそれも遠くない未来に分かたれてしまう。
それを不幸と思うなかれと、セレナに声をかけた。
空に一つ、また一つと花が咲いては散っていく。
世に在るものはいつか崩れ去るのが自然な形なのだから、それは嘆くべき別れではないのだ。
……本当は、ね。
そう、セレナは少し困ったように言う。彼女もミミとの別れを惜しみつつ、それでもそうあるべきだと感じているのだろう。
私達の居る丘の上を、気持ちの良い夜風が過ぎていく。
ミミはこの風のように世界を巡るのだ。
ならば私達は何処かに腰を落ち着けよう。
彼女が旅に疲れた時、帰ってくる場所を作っておこう。
ふらつく足を癒す家族であろう。
彼女とならきっとそれが出来る。
いつ尽きるともしれないこれから先を、長く永く共に過ごす事が出来る。
そんな確信を胸に持ちながら、私達は身体を寄せ合った。
祝砲のような大輪の花に照らされながら。
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「見つけた」
「手に入れた」
「足下に縋っていた」
「瞼の裏に潜んでいた」
「得難く」
「耐え難い」
「大切な」
「失いやすいものを」
「失うべき道筋は既に無く」
「消え去るまでの道筋をただ待つだけ」
「彼はこれできっと」
「彼女はこれできっと」
『幸せになれる』
そう呟いた双子の少女は 消えるように島を去った
日も完全に沈んだ中、低く重い破裂音が空に響く。
それは実に見事な花火だったが、彼の居る林の中からそれは見えない。
学生服の青年はふて腐れるように細い樹の根元に寝転んでいた。
その隣には黒髪の少女が腰掛けている。
「で、アンタはどうするんだい?」
かろうじて木々の隙間から見える人影から視線を外して、彼女は青年に尋ねた。
学生帽で顔を隠した彼は、答えあぐねているようにも見えた。
「……どーもこーもねーよ。俺の帰るべき場所ってのももう無いんだ」
制帽を僅かに上げて隙間に目を細める。
目線の先には三人の人影。
「じゃあ今まで通りって事か。まったく、しようのない男だね」
「うっせぇ」
彼が見つめる金髪の少女は、幸せそうに眠っていた。
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月明かりと花火に照らされる彼女の肌は、空に咲くそれと比較出来る程に綺麗だった。
ミミは完全にセレナと打ち解けたようで、彼女に凭れて眠っている。
それを挟んで三人で座っている様子は何処か家族のようだ、とふと思う。
思わず笑みがこぼれた。自嘲でない、苦笑でない、心から安心した時の笑み。
こんな笑い方をしたのは、いつ以来だろうか……いや、初めてかもしれない。
私がかつて望みながらもどうしても手に入らなかった家族。
こんなにも、暖かいものだったか。
「しかし、魔法を教えるか。考えたものだね」
やっと得たそれも遠くない未来に分かたれてしまう。
それを不幸と思うなかれと、セレナに声をかけた。
空に一つ、また一つと花が咲いては散っていく。
世に在るものはいつか崩れ去るのが自然な形なのだから、それは嘆くべき別れではないのだ。
……本当は、ね。
そう、セレナは少し困ったように言う。彼女もミミとの別れを惜しみつつ、それでもそうあるべきだと感じているのだろう。
私達の居る丘の上を、気持ちの良い夜風が過ぎていく。
ミミはこの風のように世界を巡るのだ。
ならば私達は何処かに腰を落ち着けよう。
彼女が旅に疲れた時、帰ってくる場所を作っておこう。
ふらつく足を癒す家族であろう。
彼女とならきっとそれが出来る。
いつ尽きるともしれないこれから先を、長く永く共に過ごす事が出来る。
そんな確信を胸に持ちながら、私達は身体を寄せ合った。
祝砲のような大輪の花に照らされながら。
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「見つけた」
「手に入れた」
「足下に縋っていた」
「瞼の裏に潜んでいた」
「得難く」
「耐え難い」
「大切な」
「失いやすいものを」
「失うべき道筋は既に無く」
「消え去るまでの道筋をただ待つだけ」
「彼はこれできっと」
「彼女はこれできっと」
『幸せになれる』
そう呟いた双子の少女は 消えるように島を去った
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